第十六話

6/24
前へ
/414ページ
次へ
        教室が大惨事になったが、HRを始める鐘が鳴った瞬間に惨劇は姿を失い、何時もの教室に戻っていた。   ……あぁ、これはツッコミを入れてはいけないと言うお約束ですね分かります。               ――だとでも言うと思ったかこの野郎。一体全体何が起きたのか誰か詳しく教えてくれ。     「睦月、それは聞いたら野暮って奴だぜ!」       何か雑音が聞こえたが気にしない。時々あるんだ、恐らく幻聴だろう。   目の前で両手をブンブンと振っている阿呆(柳葉)が居るが、どうも目が疲れていて幻覚まで見てしまうらしい……重症だな。         「あれ、無視?ねぇ無視? 頼むから目線合わせてよ!?」   『さてHRが始まるから俺達は席に着こうか、担任に迷惑を掛けたらいけないしな』     「はぁい…!」         俺達は露骨に阿呆(柳葉)を無視して席に着いた。   柳葉はしょんぼりとしたような雰囲気で肩を落とし、トボトボとゆっくり歩いて自分の席に着いていた。     忘れているかも知れないが、柊の席は俺の隣で、担任の策略らしき物を感じたのは言うまでもない。        
/414ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16602人が本棚に入れています
本棚に追加