第十六話

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        その後も俺達は普段通りに過ごし、下校まで行き着けた。     久しぶりになるかもしれない、喫茶店のバイトに向かっている俺達四人。 本来ならば、俺一人行けば良いのだが……女達三人がついて来たんだ。     故に、渋々俺は喫茶店へ向かっている。   喫茶店初来店の人だけに、俺が珈琲を淹れた物を出すんだが……まぁ、今回だけは俺の記憶を取り戻す手伝いをしてくれたんだから特別…だな。         おっと、喫茶店に着いたようだ。       俺は喫茶店の出入り口に掛けられている「CLOSE」のプレートをひっくり返して「OPEN」に変えてから扉を開けて入っていった。     中にはいつも通りマスターが椅子に座っていて、珈琲片手に新聞を読んでいた。         「……うん、やはりこの珈琲じゃ駄目だねぇ。誰か美味しい珈琲を淹れてくれないかな…?」   『俺がやりますよ。マスターの口に合うかは分かりませんが、淹れてみましょう』     「むつきの…こぅひぃ…?」   「ほほう、私達は……駄目か…もう飲んでしまったし」         ふむ、サプライズとでもしてやろうかな。   神崎は少々苦味を出して、未だに一言も発していない門宮にはいつも通りの風味。柊には…甘くした方が良さそうだな。       俺は三人を席に着かせてからスタッフルームに入り、ウェイター服に着替えてから珈琲を淹れ始める。   その間に女性陣はたわいもない会話で盛り上がっているように思えた。    
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