第十六話

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      取りあえず、神崎を助けなければいけないから、俺は懐からある物を取り出した。   そして周りにいた人々を少し遠ざからせると、不良と神崎との間にある物を全力投球。     かなり早いスピードで不良と神崎との間を通過したある物は、そのままズガンッ!と言う音を立てて壁に突き刺さった。         「むっ…睦月、助けてくれ」   「あ゙ぁ゙!?いきなり何しやがるゴラァ!?」     『神崎、少し離れてろ。 始末するから』       俺は神崎に持っていた荷物を渡し、周りにいた人々の方に送った。 そして壁に突き刺さったある物を抜き取り、不良に向ける。       『お前、鬱陶しい。余所者に忠告しておくが、この街でナンパをして五体満足で帰った奴はいない。 これは脅しじゃない、警告にも等しい』   「んなもん知るかゴラァ!邪魔するんだったらぶっ殺す!」         不良はポケットから小さなナイフを取り出すと、俺を切りつけようとしてきた。   ………決めた。 再起不能にしてやる。 徹底的に、精神の奥深くに恐怖を植え付けてやろう。     俺は、持っていたある物を片手で開いた。   ある物とは、扇子のこと。 何処にでも売られていそうな扇子だが、この扇子はマスター特製の扇子で加工されている。 素材は一切不明でマスターしか分からない。教えてくれなかったが、護身用に頂戴した。                   さて、久しぶりの喧嘩だ。少し楽しみながらやるとするか……        
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