第十六話

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            私はつい先程まで、時代がかなり遅れていそうな訳の分からない輩に言い寄られていた。   何語を話しているのかさっぱり分からず、沈黙していたら次第に周りに人が集まってきた。     皆、口々に漏らしていたのはやはり、喫茶店のマスターの事であった。 ……なる程、雅の言う事では確か、この街で悪事は働けないとか言っていたな。           そんな事を考えていたら、私と不良の間に何かが横切った。   それは凄い勢いで壁に突き刺さった………何故普通に扇子が壁に突き刺さるんだ!?     飛んできた方向を見たら睦月が扇子を投げた格好をしていた。       「むっ…睦月、助けてくれ」   「あ゙ぁ゙!?いきなり何しやがるゴラァ!?」     『神崎、少し離れてろ。 始末するから』       そう言われ、私は周りにいた人々の方へ送られ、睦月と不良を中心に人だかりは出来ていた。           『お前、鬱陶しい。余所者に忠告しておくが、この街でナンパをして五体満足で帰った奴はいない。 これは脅しじゃない、警告にも等しい』   「んなもん知るかゴラァ!邪魔するんだったらぶっ殺す!」           うーむ……睦月は大丈夫なのであろうか…心配だな。    
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