第十七話

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            俺の起床は、神崎の噛みつきによっての物であった。     いつの間にかタオルでのす巻きを脱出した神崎が、俺の首に犬歯を突き立ててきた鋭痛で目を覚ました俺が居る。   物凄く驚いた俺はベッドから起き上がろうとしたが、神崎が上に乗っていたために阻止された。           アレか?女っていう奴は、一緒に寝たりとかすると人の上に乗る習性でもあるのか?   柊の時でさえ、噛みつかれたりして首が唾液でダラッダラだったんだぞ…?       「……はむっ…」   『確かに痛くは無いが、甘噛みもするんじゃない』       俺は寝相が悪いから、仰向けになってその上に………だ。 神崎の口と鼻を塞いだら起きるだろうか?やってみよう。     右手は神崎にのし掛かられて動かせないから、左手で鼻を摘んで手のひらで口を塞いでみた。       みるみるうちに神崎は苦悶の表情になり、暴れ始める。 俺の上で暴れるものだから、神崎の肘が鳩尾に突き刺さった。   酸素が強制的に吐き出され、噎せかえる。 この女…なかなか重たい一撃を持っていやがる……危うく逝くとこだった…!         「っぷぁ…!」   『いい加減目を覚ませ…!熱湯はどこだ熱湯は!?』       起きたらぶっかけてやる!      
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