第三話

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    俺は今中学二年。 この頃は今とは違い、悩みなど無く、普通の学校生活を送っていた。   だが、中学二年の夏休み……楽しい夏休みのはずだったが、悪夢が俺を待っていた。       夏休みも中盤にさしかかり、朝、俺は未だに家で暑さと寝苦しさて戦っていた。   暑さは夏だから我慢しよう。 寝苦しさの原因は……     「んぅ……むーちゃん…しゅきぃ…」     俺のベッドに共に眠っている女性。 腰まで伸びた綺麗な黒髪、未だあどけない顔立ち、美しい…と言うよりは可愛いの部類に間違い無く入る。   彼女の名前は明日原 吹雪(あすはら ふぶき) 俺の幼なじみだ。   こいつの家はうちのすぐ隣であり、俺の部屋の窓からこいつの部屋の窓を行き来できる位だ。     『またこいつは侵入してきやがって……何でこうも無防備なのかね…』   「えへへ……むーちゃん…」     幸せそうに眠ってるな……罰も含めて、悪戯してやろう。   俺は吹雪の頬を指でつつく。 想像以上に柔らかいな……   その時、俺の指に温もりと、柔らかいようなザラザラとした感覚を覚えた。     「あむ…」     吹雪に指を食われた……天罰が下ったのか…? 実は起きてんじゃないだろうか……そんな気がしてならない今日この頃。   お…吹雪が起きた。     「あふぇ? なんれむゅーひゃんのゆひを……」     ……何言ってるかさっぱり分かんねぇ…… 指を抜くと、吹雪はまだ寝ぼけているのか、目を手の甲で擦っている。 そして、意識がはっきりと覚醒すると、笑顔を見せてきた。   凄く…可愛いです…!     「おはよー、むーちゃん」   『何で毎日毎日侵入してくるのかねぇ……』   「むーちゃんが好きだから♪」   『そりゃどうも。 だが、残念ながらもう聞き慣れた。 小さな頃から言われ続けたら…なぁ……』     俺がそう言うと、吹雪は指を頬に当てて何やら考えている。 そんな吹雪に魅取れていたのは俺だけの秘密だ。   少しすると、吹雪は両手をポンと叩き、再び笑顔で話しかけてきた。    
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