第十七話

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        明らかに一線引いた目で見ていたら、何故か一人の女性執事が俺の額にサバイバルナイフを突き出していた。   銃刀法違反、と言う概念はどうやら無いらしい。それ故に、周りにいる他の女性執事や女性メイド服も俺の事を殺意全開で見ている。       俺帰って良いかな? 明らかに場違いな気がするんだけど…気のせいじゃないよな?         『帰宅所望』   「拒否権を発する。貴様、ここがどこだか分かっているのか?」       額にサバイバルナイフを突き付ける女性執事が答えた。   ふざけるな!   と言いたいが、俺は女に拳は振るわない主義でね。どんな状況だろうと殴りはしないさ。       だが、間違いを正す時には容赦はしないからな?     俺は両裾から、先日神崎をナンパしていた時の不良を叩きのめした扇子をひっそりと取り出した。 一応、扇子は二つ常備しているのさ。世の中何があるか分からないからな。       『神崎が連れてきたんだがなぁ…こうされたら致し方あるまい。 その刃、折らせてもらう』   「――ッ!?」       俺は扇子を素早く取り出し、女性執事が一瞬隙を見せた瞬間に閉じた扇子の先でサバイバルナイフの刃を挟むように合わせた。   キンッ!と言う金音を立ててサバイバルナイフの刃は真っ二つに折れ、地に突き刺さった。     まさかこんなに意図も簡単に折れるとは予想外で、俺も一緒になって驚いていたさ。   ………マスター恐るべし。今更どこかで嚔でもしているだろうな。         『さて、獲物は無くなった。俺は帰らせて――』         あるぇー?武装した女の人がいっぱいいるよー?         「ほぁぁ!?ストーップ!!」       突如、奇声を上げて止めに来たのは門宮だった。 それを見た面々はいつの間にか武装を解き、何事も無かったかのように白を切っていた。 ………扇子で殴るぞコラ。       「睦月君ごめんよー!ウチってば、お父さん以外男子立ち入り禁止なのっ!だからみんな驚いて……」   『驚いて、つい男を殺っちゃった…じゃ済まないぞこれ!?』     「ほら、男子禁制が分かったならとっとと帰れ(死ね)」         今副音声入っていたよな?確実に死ね、って入っていたよな?    
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