第十七話

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        ………目が合ってしまった。       「私は桐生 姫菜(きりゅう ひめな)だ。訳あって、前の担任は違う教室を担当する事になり、急遽私が担任になった。 生憎私はこの教室にいる約一名の生徒があまりにも気に食わない。 それに、男子は少々…いやかなり嫌いだから、厳しく行くぞ」         ならば何故教師になったのだろうか…? いや、あまり考えたら深みにハマってしまいそうだから、そう考えるのはよそう。   桐生 姫菜……と言うのか、見た目は普通に綺麗な顔立ち、しかし口調が男勝りだから…名前が……     そう思ったら、祐介がいち早く手を挙げて立ち上がった。 どうせろくでもない事を質問するのであろう。         「姫ちゃん、って呼んで良いですぃぎゃぁぁぁ!?」     「姫ちゃん言うなっ!」       桐生 姫菜は、恐らく懐から取り出したであろうサバイバルナイフを祐介に投げつけた。   祐介は仰け反るようにして投擲されたサバイバルナイフを避けると、髪の毛が数本空中に舞っていた。     流石、銃刀法違反を犯している側近だな。やることがぶっ飛んでいやがる。 大体、初対面の人間に切りかかるのも間違っているし、祐介も祐介で初対面の人間にあだ名を付けるのも少々おかしい。     結果、どちらも悪いだろう。         「ちなみに、校長もサバイバルナイフの所持を認めているからな」   「すいませんっしたぁぁ!!」       祐介は机に頭を擦り付けるようにして謝罪を行う。 桐生はサバイバルナイフを抜き取りに祐介の隣に行き、そっと耳打ちをしていた。   みるみるうちに祐介の顔は青ざめていき、小刻みに震えながら席に着いた。 一体何を言われたのだろうか……気になるが知らない方が世のためだと思う。       桐生はサバイバルナイフを拾うと、懐に仕舞ってから教室を出て行った。   その際、睨まれたのはスルー。      
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