第十七話

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    何はともあれ、授業が開始する時間になった。 しかし、授業内容は変更されていて、一週間後に行われるであろう文化祭についてであった。   何故、テストが終わったすぐに文化祭があるのかと言うと、この高校――桜華高校は校長がなにやら変わっていて、普通の高校と同じ様な時期に行うイベントは嫌いらしい。     故に色々とこの高校のみ、他の高校とは違うようなイベントの周り方なんだ。 勿論、体育祭も時期がおかしいのは言うまでもない。   ……柊は遂に机に伏して眠りに入っていた。       文化祭の内容はそれぞれの教室で好きな出し物をして、この街の住民がそれを楽しむ。 そして、数ある出し物の中から二つ、気に入った出し物を選んで投票。   その投票が最も多かった二つの教室の生徒全員と担任には、二泊三日の豪華ホテル宿泊券が進呈される。 豪華ホテルの近くには沢山の遊技場があり、そこで楽しむ事も出来るのが嬉しい所だ。       早速、生徒による出し物の討論会が始まった。     文化祭、又の名は桜華祭。 校内に聳える巨大な桜の木がある事から名付けられた名前で、未だに咲いたことの無い桜の華がいずれ咲き誇るように名付けられたらしい。   確かに、あの桜の木が花を見せたのは見たことがない。 この街に伝わる言い伝えでもあるのか……それとも、何か他に理由でもあるのだろうか……         全く今と関係の無い事を考えていたら、何時の間にかいくつか出し物の候補が上がっていた。   誰が何を上げたのか分からないが、取りあえずこれらであった。       ・逆、メイド&執事喫茶 ・お化け屋敷 ・宝探し ・依頼撮影 ・縁日       この五つだった。 一言、言わせてもらうと明らかに一番最初の出し物を言った奴…悪意全開だろ…!? 『逆』って何だ『逆』って!?     ………そんな俺の激しい疑問も無駄に終わり、この五つの中から出し物を決める事になった。       だが、そんなの決める必要が無い位、皆の視線は『逆、メイド&執事喫茶』に突き刺さっていた。   切実にそれだけは辞めてほしいが、俺一人の意見など無に等しいだろう……無念ッ!!      
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