第十八話

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        取りあえず入り口に立ってみると、一人の女子生徒が何かのメニューを持ってやってきた。     「いらっしゃいませ!今回はどのデレがあなた様にお付きしましょうか?」     そう言ってメニューを渡し、そこに書かれていたのはやはり、デレデレ、クーデレ、ツンデレ、ヤンデレの四つの単語だった。   俺が沈黙していたら、柊が一つの単語に指を差していた。       「…ツンデレ…?」   「畏まりましたー!」       俺達は女子生徒に誘われてテーブルに座る。すると今度は違う女子生徒がやって来た。   肩まで伸ばした髪をツインテールにして、ウェイトレスの服装をした女子生徒。       「注文が決まったら早く言いなさいよね?私だって忙しいのだから、あなた達だけに構っている暇は無いの」       何とも人の神経を逆撫でるような言い方なのだろうか…… しかし、流石にここは我慢して注文をする事にした。     『アイスコーヒーをお願いしますね?』   「…オレンジジュースと…焼きそばが良いのー……」     「はいはい、分かりましたわよ。作れば良いんでしょ作れば? そっ…その代わりに絶対残したら駄目なんだからね…!?せっかくあなた達のために作ってあげるんだから残したら怒るからね…!?」           そう言い残し、奥へと消えてしまった。残ったのはこの店に対する疑問符と、多少の理解だった。   恐らく今のが、先程柊が指差したツンデレ…と言うものだろう。     では、他の三種を選んだ場合は……いや、考えると混乱しそうだ。 だが、ツンデレなどと言うのを理解していない人にとっては、この出し物は不可解に思われるだろうな。     どうやらもう調理が出来たようだ。あらかじめ作り置きがあったのだろうか……五分少々で先程のツンデレ女子生徒がアイスコーヒーとオレンジジュースと焼きそばを持ってやって来た。         「はい、ちゃんと持ってきてあげたわよ」   『ありがとうございます。お仕事頑張って下さいね?』     「べ…別にあんたなんかに言われなくたって頑張るわよ…!でも、一応感謝してあげるんだから」           何とも面倒くさいやり取りだ。 俺達に注文された品を渡し終えた女子生徒は逃げるようにして居なくなってしまった。     俺達は注文した品を食し、多少腹が満たされてからこの教室を出た。    
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