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教室を出て早々に柊が俺の服の裾を引っ張ってきた。
「…私…何か悪い事したの……?何だか怒ってた……」
『違いますよ。アレは、素直になれない人が意地を張って少し棘のある言い方になっただけです。
だから、柊さんが悪いわけではありませんし、そう言うお店なのですよ』
「うみゅぅ…それなら良かったのー……」
次に訪れた場所。
そこは俺達の一つ上の先輩達の出し物である占いの館。
柊が俺達の教室で流れた噂を聞いて、来てみたくなったそうだ。
占い…俺はあまりそう言うのは信じない質だからな……正直どうでも良い。
だが、柊も女性故に、そう言うのに興味が無いわけでも無いらしい。
占いの館の内装は、暗幕で全てを囲んで光を遮り、占いに使用するであろう机に胡散臭い水晶玉が置かれ、椅子に座ったローブに身を包む女子の先輩がいた。
「いらっしゃい。ここはどんな占いでも大丈夫だよ」
「…んと…この人との相性…!」
柊は俺の腕に抱き付き、先輩はその申し込みを許可した。
そしてトランプを取り出し、束の両端を持って、水晶玉にバラバラと飛ばし始める。
どう見ても遊んでいるだけです。本当にありがとうございました。
「はい、この水晶玉の中に入っているカードがあなた方二名の相性です。
スペードは友情度。
クローバーは信頼度。
ダイヤは親密度。
ハートは愛情度。
更に、その数字の大きさが大きい程、相性の度合いが大きいのです!」
そう言われ、水晶玉を覗いてみたら確かに四枚の違う種類のカードが入っていた。
普通に手品なんだと思ってしまう俺がいる。
スペードは六。
クローバーは十一。
ダイヤは十。
ハートは七。
何とも当たり障りのない結果だと思ってしまった。
『……微妙ですね』
「うみゅ…でもちょっとショック……なの」
「綺麗なお二方にオマケで、こんな事をお伝えしましょう。
身長の低い方の女性は、もっと視野を広げれば必ず良いことが訪れるでしょう。
高い方の女性は、嘘を付いたらきっと罰が下ってしまうでしょう」
すいません、性別偽ってます。
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