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門宮は俺の思惑を理解したのか、柊を連れて桜華祭を回りに行った。
ふむ、それならば邪魔をする者はいないから、少々神崎と二人きりにでもなって同性愛者として迫ってみようか。
そして、神崎の慌てがピークに達したら正体を明かすとしよう。
『あのっ……神崎さん、私と一緒に思惑を回りませんか…!?』
「雅は…飛鳥と行ったようだな。うん、構わないよ」
と言う訳で、俺は神崎と桜華祭を回ることにした。
しかし本当に神崎は分かっていないようだ。声とかで分からない物なのか…?
「そうだ、少し寄りたい所があってね……良いかな?」
『構いませんよ?神崎さんの為ですもの』
寄りたい所…か。
神崎に連れられてやって来たのは、見覚えのあって、二度と目にしたくは無いようなその場所……
かなり前に、俺が神崎を完全に拒絶していた時に訪れたあの……拷問部屋。
見るだけでおぞましくて鳥肌が立つくらいの寒気がする。
こんな所に一体何の用が?
「ちょっとそこに座ってもらえないかな?」
促されたのは何の変哲も無い普通の長椅子で、俺は多少口角がヒクついていたが怪しまれないように座った。
神崎がそれを見届けてから、パチンと指を弾いた。
『わっ…!?』
急に俺の両足が鉄製の捕獲用具に固定され、腰にも鉄製のベルトが巻き付けられた。
上半身以外動かすことの出来ない状態になり、神崎の方を勢い良く見る。
神崎は怒ったような表情で腕を組み、座っている(捕獲されている)俺の前に立った。
……どうやら神崎には俺の正体がすでにバレていたようだ。
「まったく…睦月は人が悪い」
『睦月とは誰の事ですか?それに、私はこんな趣味はありません。神崎さんは噂とは違ってこんな趣味をお持ちだったんですね……ちょっと幻滅しました』
「まだ白を切るつもりなのか?諦めるんだ、もう素性は分かっている」
『ふざけないで下さい!大体、何でこんな部屋が桜華高校にあるんですか!?それにこれは完全に監禁です!』
我ながら苦しい言い訳だと思う。もうバレているのに、言い逃れは出来そうにないな……
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