第十八話

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          柊は門宮を叩いた後、長椅子の俺の座る位置で隣に座った。 柊は、門宮との友情は良いのだろうか?     「私は…むつきが一番なの…しいなやみぃよりも…むつきが良い…!」   『俺は悪人なんだからこの部屋に閉じ込められたんだぞ?それでも一番と言えるのか?』     「ん…そんなの関係無いの……私はむつきと会わなかったらずっと病院で一生を過ごしてたから…… むつきと出会って…私に白以外の色が目に映ったから……」               気が付いくまで、自然と俺は柊の頭を撫でていた。   柊が、俺の白と黒の世界に色を与えてくれた。 敵じゃない、味方がいた。 理解者がいてくれた。   それだけで俺は嬉しかった。         『柊、俺はもう駄目だ。周りに敵しかいない』   「…私が味方…!私だけでも…むつきの味方…!」       カキンッ……そう聞こえ、俺を拘束する機械が外れた。 俺は立ち上がり、未だに女装したまま体の凝りを解す。   柊も立ち上がり、服の裾をキュッと掴む。だが、俺は柊の手を服から解かせ、自分の手と繋がらせる。         「うみゅ…むつき…?」   『さぁ、私達の教室に帰りますよ?休憩時間を大幅に越えてしまったのですから、皆さんに迷惑が掛かっているはずです』     「……うん…!」                     俺は記憶から、神崎と門宮を抹消した。俺も人の事を言えない自己中心的野郎だから、大嫌いなんだ。 それ故に、今柊が言ってくれた言葉が物凄く感謝した。       『テストの時の命令を今言おう。俺の隣にいてほしい、それだけだ』   「えへへ…命令じゃなくても一緒にいるのー…だってむつきが大好きだから…!」         ……ありがとう…ありがとう。     ―――――― ――――― ―――― ――― ―― ―  
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