第十八話

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        マスターが電話に出ると、やはり先程柊が恐怖した時の鋭い瞳になった。     「――えぇ、確かに……分かった、ありがとう」     再び携帯電話を閉じ、時間を確認する。そして一度咳払いをすると、ある人物を呼んだ。   柊ではなく、睦月の親友とも言うべき人物。その人物が喫茶店へと丁度良く入ってきた。       「時間通りッスねマスター。俺がマスターの代わりに喫茶店にいますよ」   「うん、任せたよ祐介君?今睦月君は瑞希さんとアレを治療しているから、君が柊さんを守ってほしい」   「了解ッス」       そう言うとマスターは、柊と祐介を残して喫茶店を出て行った。 十中八九、先程電話をしていた相手の所であろう。     祐介は、柊が呆然として立っている前に出て、柊に事情を説明し始めた。         「今からマスターはこの街を管理している人物に会いに行く。だから、その間の喫茶店の留守は俺と飛鳥ちゃんが引き受けるってわけ。 理解してくれましたか?」   「…ん…なんとなく…なの。むつきはみずきを治療して、ますたーはお出掛け…!」       祐介は唸りながらも肯定の為に首を縦に振る。普通なら立場的なのが逆だが、それが彼等なのだろう。   祐介はスタッフルームに入り、過去に自分が使ったであろうウェイター服に着替える。           「……さて、ようやく全ての準備が整った。後は待つだけ……だな」       祐介の不可解な発言から首を傾げる柊だったが、未だに祐介から若干の距離を取っていた。   睦月が居ないからか、祐介に慣れていないからか……どちらにせよ、柊は祐介から距離を取っているのは確かだった。        
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