第十八話

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        そして祐介は柊に体ごと視線を向け、真剣な眼差しで柊を捉えた。       「貴女には…貴女達には、男の子を全て受け入れる自信と、器と、強さを持っていますか? 持っていないのならば、早々に男の子を諦めなさい。 貴女達が男の子を受け入れる事が出来ても、男の子がそれを良しとしないならば、有無を言わずにこの街を出なさい。 ………これは警告だ…従わないなら、俺が貴様等を再起不能にしてから街の外へと放り出してやる……」             刹那、喫茶店の中の気温が数度下がったように体感した柊。   それは間違いで、実際は祐介の鋭い瞳と口調から滲み出る殺意によって全身が凍ったかのように錯覚を起こしただけ。   人の雰囲気に敏感な柊だからこそ、祐介に怯え、カタカタと小刻みに震え始めてしまった。         「…ぅ…ぁぁっ…」   「まっ、ただの昔話と、それを聞いた時の決まり文句なんだがなっ」         最後にチャラけたが、柊は昔話とは到底思えなかった。むしろ、真実に聞こえて仕方がなかった。       (…むつき…だよね…?でも…私だって――)   「ちなみに言うと、男の子は大切な心のピースが一つ、砕け散ってしまった。 そのピースをはめられるのは二人の女の子だけ……… 選択肢だ、男の子を救うか、見捨てるか。 どちらにしても、自分にメリットは無い」     「メリットなんか…いらないっ…!わたっ…私はっ…むつきが居るだけで幸せだから…! 睦月が居たから…私はっ…!」           柊 飛鳥は、自らの気持ちを全て祐介に吐き出した。 何もかも…全てを……     ――――――― ―――――― ――――― ―――― ――― ―― ―    
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