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…ふと、門宮が立ち止まった。
「本当に、あなたはその考えで良いの?」
『しつこい。俺自身、自己中心的で傲慢で我が儘で器の小さな馬鹿な野郎だとはとうの昔に気が付いている。
だからこそ、俺が悪役になろうとも、皆から一線引いて恨まれるような事をしていたんだ』
「それこそ、その思いこそが睦月君の一番の勘違いなんじゃないの…!?」
その言葉が、俺の全身を鋭く太いナイフとなって切り裂いた。
全身が鳥肌を立たせ、門宮の瞳に畏怖する。
まるでマスターが不機嫌な時に見せる切れ目になった瞳だ。
もはや本格的に後退りをし、歯軋りがするほど強く歯を噛み締める。
………なる程、これが門宮の持つ「怒り」の感情か。
まさかこれ程までだとは思わなかった。
『勘違い…?馬鹿げた事を言うな。これは正論であって、違うとは言えない』
「私には、分かるよ?睦月が嘘や勘違いとか、あまり良くない事を話す時、目に光が宿っていないのを」
………瞳に光…ねぇ……
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