第十九話

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      しかし、今はこの状況をどうやって回避するか……だな。 油断しないで門宮を言いくるめる次の台詞は何とすれば?       『……』   「ほら、また嘘を付こうとしたでしょ?やっぱり目の焦点が私に合っていないよ」       驚いた。まだ言葉も発する前に言われてしまった。     「私には、あなたの嘘は通用しない。だから、本音を話さないと…」   『分かった、もう門宮には嘘は付かない。あんたはマスターや瑞希さんと同じ類の人間のようだからな……損をするのはこっちなのは目に見えている。 良いだろう、俺の考えを全て伝えてやる』                                   それからしばらくの間、道路で門宮に俺の考えていた事を全て洗いざらい説明を施した。 門宮の表情は、始めは変化が無かったが、次第に険しくなっていくのが明らかに分かったが、俺は決して途中で話を止める事をしない。     門宮も中途半端に話を中断させるよりも、溢れる言い分も抑えて一度全て聞き入ってから、返答するのが得策だろう……と思ったのか、ずっと黙っていた。       伝える内容を簡単に纏めると、神崎が壊れた幾多の絆が回復出来るか? 器の小さい俺の自己満足。 自己中心的な性格を持つ俺の、神崎に対する偏見。 昔の、俺と幼なじみ…明日原 吹雪の存在の大きさ。                     そして、全て伝え終わった後、俺は門宮に頬を思い切り叩かれた。 叩かれた部位が焼けるように熱を帯び、赤くなっているのが予想出来る。    
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