第十九話

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      互いに繋がり、そして離れる。 もはやどちらの唾液かが分からぬ位混ざり合った銀色の糸だけが俺達を繋いでいた。   その糸がプツンと切れ、柊は再び抱きついてくる。       『今更言うのもアレだが、柊はキス魔だ。寝ていて意識が無いのにも関わらず唇を合わせてくるし、起きている場合でも…』   「本当は…きすだけじゃ…や」         もっと先の事…まぁ、性行為がしたいと言う事か。 生憎、柊にはそこまでするような勇気は無さそうだから、欲求不満だがキスだけで抑えている……と?       「でも…しいながいる」   『柊と神崎は関係無い。俺は神崎に失望、及びに傷付ける発言を繰り返した。 これを聞いて、神崎はまだ俺を好いていると思うか? 俺が神崎の立場になったならば、そうは行かないだろう。 事実、俺は人を信用するのが苦手……いや、信用するのが嫌いだ』     「女の子は…男の子とは違うの…!」         ならば、どこがどう違うのだろうか?生物学的違い?性格?体格? 俺にはその違いなど永遠に分からないだろう…分かりたくもない。   男女差別反対だと世間では言われるかもしれない。だが、反対を唱える者達に問う。     本当に全ての人間を平等に扱っているのか?     自分とは多少異なる点を見つけ、それを見た瞬間に一瞬でも邪なる心情は生まれなかったのか? 本当に平等に接しているのか? 相手を気遣い優しくするのならば、もうその時点で差別をしているというのを知るが良い。       誰もが全員平等に接する事は不可能だ。 この世は差別があってこそ成り立っているような世界だと俺は思う。             「でもね…?むつきも…とってもしいなを好きなんだよ…?」     『まさか、俺は――』   「なら…なんで…なんで泣いてるの…?」         柊に言われ、初めて気が付いた涙。今までに人前で涙を流したのはたったの一人だけのはずが……涙を流す相手を失ったはずが……     何故こんなに涙が溢れるんだ?    
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