第十九話

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      門宮と神崎の仲を引き裂いたのは、本当にすまなかったと思う。 流石に神崎の精神をそこまで壊すとは思っていなかった。   神崎に言われて頭を上げると、次は神崎が頭を下げてきた。       「ごめんなさい…私はむつ……神流君に…!」     その声は震えていた。 明らかに涙腺から涙が溢れてきそうな声と、微弱に震える体で頭を下げ続ける。     ……この謝罪はどうやら、俺に対しての嘘及びに桜華祭の時に拷問部屋で捕縛させた事を意味しているのだろう。   俺が仕向けたそれ故に、真実を知らない神崎は自ら俺に嫌われるような事をした…と思い込んでいる。     別段俺はその事については謝罪の声を聞いただけでもう良い。   俺が最も気になる事……それは神崎がどのようにして門宮との仲を取り戻すのか…だ。         『それは俺も大人気無かったから気にはするな、互いに悪かった。 それよりも、神崎は門宮の事をどう思うのか……上から目線だが、門宮と再び仲を取り戻せたならば俺は神崎を信用…いや、好意を持てる。 神崎には自ら謝る勇気がある。 それだけでも少々凄い事だ』     「でも…どうすれば……門宮さんが私に会ってくれるかどうかさえ…」     「だいじょーぶ…なの…!」             これまでずっと口を閉ざして傍観していた柊が言い放った。 神崎のうじうじとした態度があまり気に食わなかったのか、何時もより少々荒ぶった口調だった。   神崎もかなり驚いたのか、頭を上げて目を丸くしながら柊を見ている。   実際俺も柊の突然の主張には驚き、神崎同様に柊の方向に視線を合わせていた。    
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