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表情を暗くしていた二人だったが、俺は謝罪の言葉を一つ入れて喫茶店の入り口に掛かる「OPEN」のプレートを「CLOSE」にしてから閉めた。
二人を帰らせ、完全に一人になったこの喫茶店。
俺は記憶を失っていた時、海の家で接触してきた店員――吹雪の母親である静香さんから受け取った連絡先の書かれた紙を取り出した。
そして、紙に書かれた連絡先から、昔吹雪が住んでいた家とは違う場所だと言うことが調べられた。
……静香さん…すいません……
俺は何故、喫茶店の内部にあるのかは分からないが、風呂が喫茶店には付いている。
と、言うよりかは、既に一軒家並みの内装を持つ喫茶店だ。
元々一軒家だった物を改装したのだろうか……マスターの謎は深まるばかりである。
とにかく、俺は瑞希さんとの行為で汗をかいたため、ここで汗を流して宿泊するつもりだ。
マスターには前々から許可は得ているし、出来れば一人で過ごしたい。
確かに人との触れ合いなどは大切だろうが、時には一人で居ないと精神的に滅入ってしまう。
別に、大した事では無いのだが、静香さんと対面するには完璧な状態で向かい合いたいからだ。
静香さんには、吹雪の事故は俺のせいでは無いと言われているが、俺はそんな風には断じて思えない。
やはり俺にも、俺にしか感じない罪悪と虚無、そして悲哀がある。
例え本人がそれを許そうとも、俺自身がそれを許そうとはしないだろう。
………出発は二日後のあさだ。
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