第十九話

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        ……さて、久しぶり…?柳葉 祐介、二回目の視点で行かせてもらおうか。   俺と門宮さん、そして桐生先生は喫茶店を共に出て、とある公園のベンチに腰掛けていた。 左に門宮さん、真ん中に桐生先生、右に俺が座り、二人から若干距離を取って俺はベンチに座っている。       ……生憎、俺には桐生先生の正体は分かっている。マスターとは違う俺のコネから情報を掴ませてもらったからだ。 桐生先生………えぇぃ!面倒だから姫ちゃんで良いわ!     まぁ、そんな事は置いといて、さっきから姫ちゃんがサバイバルナイフを脇からちらつかせるように腕と足を組んでいるんだが……正直半端無く怖い。     気を抜いたら後退りして奇声を発して踊り狂う位怖い。 ……つーか、銃刀法違反と言う法があるのはご存知なんだろうか……明らかにこれ真剣ですよね!?         「柳葉君ってさ、睦月君の親友なんだよね?」       不意に、門宮さんが話しかけてきた。一応俺は頷くと、姫ちゃんが舌打ちしたのが聞こえた。   …俺泣いて良いかな…? 親友だと言ったら舌打ちとか……俺姫ちゃんに何か悪い事した?       「彼奴の親友なら、私はお前が嫌いから大嫌いにランクアップだ。喜べ、望むならひと思いにやってやる」       やってやる、その言葉の「や」が「殺」じゃ無いですよねー? サバイバルナイフを突きつけないで下さいよ姫ちゃん…!   だが、そんな事を考えた瞬間に前髪が数本空中を舞っていた。     あるぇー? 今のって完全にスパッといったよね?え、斬られたの今? ………うん、せーのっ!       「ほぁぁぁぁ!?」   「うるさい黙れ。前髪を少し斬っただけだろうが」     何この仕打ち? 俺ってばこんな役だったっけ…?絶対違うよ…ね?     「あはー、柳葉君はやられキャラなのさぁ」   「嫌だ!俺はやられキャラなんかじゃあぁぁぁああ!?」       いきなり叫んだために驚いたのか、姫ちゃんが超至近距離でナイフを投擲してきて俺の頬を掠って隣の木に突き刺さった。   ………どうやら俺はやられキャラのようです。本当にありがとうございました。    
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