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俺の全身の血が引いていくのが分かる。それも物凄い速さでガンガンと……姫ちゃん怖いよ…!
姫ちゃんは投擲したポーズで見てきたが、そのままベンチに座り直していた。
あくまでも投擲したナイフは取りに行かない姫ちゃん。
渋々俺が木に刺さるナイフを頑張って抜き取り、スッと懐に忍ばせた。
「それで、話の続きなんだけど……親友の柳葉君は、睦月君の考えている事が読める?」
「……生憎、俺は読心術などは身に付けていないからなぁ…無理だ」
人間、誰も自分以外の者が考える事など分かるはずがない。あのマスターでさえ、分からないモノがある。
だが、何故そんな事を聞くのだろうか…?知りたい事があるならば本人に………あぁ、睦月だからこそ…なんだな。
彼奴が考えを述べる時は必ず、その考えに隠されたもう一つの真理がある。
自らだけが満足する答えを期待しているが故に作られた睦月の法則。
「本当に、分からない?」
「知らない、分からない。いくら親友の存在だとしても、踏み込んではいけない領域に足を踏み入れたくはない。
それが俺の課した楔だから」
「なに…楔…だと…?」
姫ちゃんが理解できていないように反応するが、門宮さんはうんうんと頷いてきた。
………本当に分かっていたら、それは気軽に動くことの出来ない程の内容なんだからなぁ……
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