第十九話

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      とにかく、俺は静香さんに促されてリビングにやって来た。 静香さんはソファーに座り、俺にも座るよう言ってきたが、俺は静香さんの前の床に両膝をついて正座をする。     「睦月君…?」   『…今まですいませんでした』       俺は両手を着き、床に擦り付けるように頭を下げた。 土下座…と言う謝罪。 無論、そんな事だけで許されるような軽いモノであるはずがない。   まず、そんな事で俺が許さない。許されるとは思わない。俺の生涯を全てを捨ててでも、償えるものじゃ無い。     だから、今の俺なんかに静香さんの顔を正面から見る資格もない。     ……そう思っていた。           「顔、上げてよ。きちんと私を見てよ……目を見てくれないと…許せないじゃない……」     『――え?』           静香さんのその言葉に、思わず顔を上げてしまった。   静香さんは瞳に涙を浮かばせ、声を震わせながら…絞り出すかのように…… 瞬間、心臓を強く鷲掴みされたような、胸に強い痛みを感じた。         「そんなに…さ……先にやられたら私が言い出すきっかけ無くなっちゃうじゃない…」   『………』       何故、何故、何故、何故!? 許す…!?許される!? 俺を哀れに思ったから?       「私は、吹雪は睦月君を愛している、って知ってる。睦月君も、吹雪を愛している、って知ってる。 だからこそ、睦月君は深い自己嫌悪に陥っているんだと思う。 …でもね?吹雪は睦月君自身が傷ついたりするのは嫌だったんだよ。 睦月君が吹雪が傷つくのを恐れるよりもずっと強く、嫌だったんだ」       黙って……否、一言も口に出来ない程の雰囲気を醸し出していた。    
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