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「――だから吹雪は、睦月君を助けた。自分の命を引き替えにしてでも、愛する人を護りたかったんだよ…?」
それなら俺だって同じだった…!同じなんだよ…!
「睦月君を怒ったり、恨んだりなんかはしない……だって、吹雪が護りたかった人なんだもの…」
『俺は、一体どうしたら』
完全に道を外れてしまった。
吹雪がいなくなった時点で、俺は既に廃人となった。
静香さんにそう伝えられ、我が進むべき道が多重にも別れ、迷いが生じてしまう。
……だが、新たに生まれたその迷いも、静香さんが拭い去ってしまった。
「睦月君は、睦月君の人生が狂ってしまったかと思うかもしれないけど…それは間違い。
吹雪が居なくなってしまった瞬間、昔の睦月君も同時に居なくなったんだよ。
今現在、私の目の前で土下座をしている少年は、生まれ変わった睦月君自身。
吹雪が生まれ変わるにはもっと時間が掛かるけど、時が変わるけど、あなたは既に生まれ変わった。
だからこそ、睦月君は新しい道が見えるはずだよ…?」
………気付けば俺の瞳からも涙が溢れていた。
静香さんの言葉に圧倒されてか…心に直接語りかけられてか……今のまで、積もり積もってきた涙が決壊したかの如く漏れだしてきた。
何度も何度も目を拭っても、涙が止まる気配は無く、ただひたすら涙を流し続けるだけであった。
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