第二十話

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      酔って、普段出ない力が解放されていた柊の抱擁から抜け出した俺だったが、柊の口から発せられる蜜柑酒の匂いに若干嫌悪感を抱く。   今度からマスターの土産は選んでもらうことにしよう。でないと今度は家の外にまで被害が及ぶかもしれないからな。     今は、柊を寝室に運ばせるためにお姫様抱っこをして移動している。 柊は羽のように軽く、本当に食事をしていたのかが疑問に思うが……神崎もいるからきちんと食事は取っているんだろう。   だが、確か神崎自身もかなり軽かったような気がする。女性は皆、そのような体質なのであろうか……         「…むつきぃ…」       既にご機嫌になった柊が不意に、俺の首に手を掛けて顔を引き寄せてきた。 当然両手の塞がっている俺は抵抗が出来ず、悪あがきに顔を横に向けたがそれも無意味であった。     柊は自分の体ごと無理やり動かして強制的に唇を合わせてきた。 酒の匂いと味が、口内に広がってくるが……生憎俺はなかなか酒には酔わない質でね。   過去に瑞希さんの酒屋で、三日三晩吐くほど瑞希さんに酒を飲まされたからな……この程度なら造作もない。           「…ちゅっ…んくぅ…」         舌でも噛んでやろうか…?と言う位ぐいぐいと舌を奥に入れてくる柊。 確かに舌と舌が交じり合うのも異例な感触を楽しめるが、ただ舌を絡め合うのでは飴を舐めるのと同じ。       口付けが終わってすぐ、柊の寝室に着く。中に入って布団の上に柊を寝かせると、今度は俺から柊に唇を合わせ、未だに酔う柊の口内に焦らすように舌を入れていく。     酔っている柊はその焦らしに耐えられなかったのか、強く俺を抱き締めて逆に舌をねじ入れてきた。   入ってきたその舌を俺はくわえ、舌に染み込んでいる蜜柑酒を吸い取るように吸いながら舌の上下左右を舐めていく。         「んーっ…!んぅっ!?」       敏感になった舌が感じ取ったのは甘くて激しい快楽の嵐。 ビクビクと小さく体を震わせた柊から唇を離し、布団を上から掛けてやってから俺は柊の寝室を出て行った。   ……さて、後は門宮を叱らないといけないな……                             「…ひぅっ……イッちゃった…の……しいなよりもえっちなむつき…なの…」      
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