第二十話

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      ――なんと言う急展開は無い! 話は柊が大好き大好きと連呼した所から既にずれている。   本当は柊が前のめりに倒れたのだった。俺と神崎が慌てて柊を仰向けにさせると、柊はすやすやと寝息を立てて眠っていた。     ……ねっ…寝落ち……そんなんで良いのだろうか。       『酔っぱらっていたんだ。酒に耐性のない柊はよくこの時間帯まで保ったと言おうか』     俺は仕方無く柊をベッドに寝かせ、改めて神崎と真っ正面から向き合うことが出来た。 神崎は伊達眼鏡を外し、いつもポニーテールだった髪を下ろしている。   まだ酔っぱらっているようで、ほんのりと頬が赤く染まっていた。 ……いや、もしかしたらもっと別の理由なのかもしれないな。         『門宮と、新しく友達になれたそうだな』   「うん、キチンと謝って、友達になって下さいって言ったら涙を流して抱きついてくれた」       目を細め、嬉しそうに鼻歌を歌う神崎は、今までに見たことの無いほど上機嫌であった。 酔いもあってか、神崎の性格がどうも全体的に明るくなっていたようだ。   ……そうだな、もう返事をしても良いかもしれない。 この街で最大を誇る丘での神崎からの告白を。         『――神崎』   「ふふふ…なぁ睦月、今私は凄い気分が良いんだ。何もかも、ようやく元に戻れた。 飛鳥と言う新しい友達もできた。睦月を好きになれた。 嗚呼…とても良いなぁ…」         軽く異空間へトリップしている神崎の目を覚ますかのように俺は折り畳み式ハリセンで神崎の頭をひっぱたく。     そして、揺れる頭を抑えるように後頭部へ手を回して抱き締めた。   神崎の酔いを覚まさせるように、自らの心の内をさらけ出すように、思いを言葉にと紡いで神崎の耳に囁いた。           『―――――!』         ―――――――― ――――――― ―――――― ――――― ―――― ――― ―― ―  
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