第二十話

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          よう、柳葉 祐介だ。 これは数日前に遡る内容だ。         ――久しぶりに喧嘩と言う事をしたが…如何せん体が鈍っていたようだ。 少々体が悲鳴を上げている。   だが、姫ちゃんと門宮さんを無事に帰らすことが出来たから良しとしよう。 それに、ほんの少しだが姫ちゃんの好感度が上がったみたいだ。     ……ふはははは! 体を張った甲斐があったぜ!           あーとにかく、今日は平日。学生ならば高校へと出向いているのが必然。無論俺も桜華高校へと通学している。   今は睦月は休んでいるから、柊さんも来ては……         「あっはははは!待てー!」   「うみゅ…助けてむつき…!」       血走った眼をした門宮さんから可愛らしい走りで柊さんは逃げていた。   ……よし、見なかった事にしよう。俺は何も見ていない。     軽い自己暗示を掛けていたら、後ろから風切り音が聞こえてきた。 まぁ、どうせ姫ちゃんなんだろうが………どうもここ最近姫ちゃんに狙われている。 公園から門宮さんと姫ちゃんを帰らせてから、次の日には何かと突っかかるようになってきた。       「……やれやれ、いい加減にしてくれよ姫ちゃん」   「ふんっ、たまたま手が滑っただけだ!」       手が滑ったら殴りかかって来るんですか、そうですか。 ならこっちだって手を滑らしてやるぞこのやろー。     「てがすべったー」     と、言いつつ姫ちゃんの頭を撫でる。実際姫ちゃんの身長は俺よりも低いため、難なく手は頭に届く。 口をパクパクと開けたり閉じたりする姫ちゃん……可愛いのぅ可愛いのぅ…!       「本気…だからな?」   「……っぇい!」       強烈なボディーブローをかましてきた姫ちゃん。 一番狙われやすい腹部には力を入れといたからさほどダメージは無いが、あえてワザと痛がるフリをする。   うーむ…姫ちゃんのプライドを保つため…と言う理由で了承してもらえると有り難い。      
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