第1章 死の恐怖『ハセヲ』

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女の言葉は続かなかった。 知らない以上、もう話を聞く意味がない。 女の首に突きつけた大剣をけたたましく鳴らし、刻む。 「ガッ、アグッ、ウアアァァ!?」 苦悶の声を女が漏らす。 ためらいもなく、一閃。 刃は無慈悲に女の体を蹂躙し、女はゆっくりと倒れ、動かなくなった。 「……使えねぇな」 吐き捨て、ハセヲは“ゲート”を開いて荒野を後にした。 ***** ――その様子を一部始終を見ていた者がいた。 PKを見下ろしていたハセヲよりも遥か高い位置で、その女は全てを見ていた。 遥か高い天に立ち、眼下の光景を眼に焼き付けるかのように。 「審判日は、もうすぐそこまで来ている……」 透明で、鈴のように澄んだ声が『世界』響く。 「もう――待てない」 風になびく髪はどこまでも紅く、どこまでも美しい。 「悪いわね……無理矢理だけど、そろそろ起きてもらうわ」 愁いを帯びた瞳は、それでいて強い意思を秘めていた。 「願わくば『世界』にとって……アナタにとって」 その女性は、何かに焦がれるような……何かを想い帰すような表情を浮かべ―― 「行き着く答えが誇れるものであらんことを――」 未だ見ぬ何かへと、祈りを捧げた。
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