第1章 死の恐怖『ハセヲ』

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故に、“影”は大義名分を得る。 “PKK”という名の大義名分を―― ――PKK。この“再誕せし世界”で生まれるべくして生まれた者達。 ある者は復讐を、ある者は正義を、ある者は名声を掲げ、それを行う。 PKをキルする存在『Player Killer Killer』すなわち――PKK。 ―“影”はPKKであった。 尚も嘲り、非道を行う集団に対し憤りもなくただ“影”は歩みを進める。 そして当然の行為であるように、目前に迫った集団の内の一人の背中に無造作に蹴りを浴びせる。 「どぅわ!?」 蹴りをくらった男は近場の仲間の肩に咄嗟にしがみつくが、巻き込んで無様に倒れ込む。 「あぁん?」 集団の頭である女が視線を“影”へ向け、不可解な声をあげる。 それはそうだろう、普通なら十人以上の集団相手に一人で喧嘩を売る馬鹿はいない。 しかし――その“影”は例外だった。 集団の一人、剣をもった男が“影”の正体に気付き震える手で“影”を指差す。 「死……『死の恐怖』―!?」 そして怯えを滲ませた口調でその二つ名を紡ぎ、叫ぶ。 “影”の名を― 「PKKのハセヲだー!!」 「なにぃ!?」 ―PKにとっての文字通り「死の恐怖」の名をその“影”ハセヲはそれに答えるように口を歪め表情を象る。 嘲笑を――
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