第1章 死の恐怖『ハセヲ』

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火花を散らす中、太陽に照らされ鍔迫り合う二人に、二つの影が落ちる。 (ちっ!) 「イヤッホオォォォォォォァ!!」 PKどもの内の二人が太陽を背にし、文字通り降ってきた。 後ろに弾けるように飛び退き、回避する。 一瞬前までいた場所が轟音を立てて砂煙を上げた。 着地したところへ素早くPKどもが包囲網を作り、四人に囲まれる形となる。 双剣は一対一の場合には連続攻撃が有効だ。 しかしその反面、正面のみに攻撃力が集中する為に周囲を囲まれると相性が悪い。 故にハセヲは双剣を背中の“光”へと収める。 返す動きで左脇から“光”へと手を差し込みそれを掴む。 そして居合い抜きの要領で一気に引き抜き、力を振るう。 力の名は大鎌。死を運ぶ為の暗き狂刃。 ハセヲは複数の武器を扱う、錬装士・マルチウェポンだった。 他の職業(ジョブ)に比べると特化した能力もなく、しかも熟練するのに多大な労力を必要とし、中途半端な強さになってしまうため弱小職業と言われる。 しかし物事や常識には必ず例外が存在し、ハセヲはその例外だった。 大鎌の一撃の下に、包囲網を敷いていた四人を一気に始末した。 続く動きで空へと跳躍し、空中攻撃を仕掛けようとした五人を舞うように迎撃、撃墜する。 9人追加。これで13人――。 着地の瞬間を狙って最初に『死の恐怖』と叫び、また空中から落下攻撃を仕掛けてきたやけに肌の白い男が、勢いのままに突っ込んできた。 「ウオウリィヤ!ッシッウアァァァァ!!」 大鎌が弾かれ、宙を舞う。 大鎌は後方に落下し突き刺さる。 「ヒャッハァ……」 相手の武器を弾き、無力かしたと確信し、その“白い男”は満足げな声をもらす。 男が勝利を確信した刹那。
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