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目を覚ました時、僕を囲んでいたのは無ではなく、布団だった。
この時の落胆の激しさといったら…
もう、立ち直れないほどだ。
だが、僕はすぐに立ち直れる。
言ってることが矛盾してるって言うかもしれない。
でも、人間って、そんなものだろう?
ぼやける視界が、はっきり仕出した頃
僕は時刻を見ようと、起き上がろうとした。
しかし、僕の頭が、それを許すわけもなく
激痛に襲われ
あえなく僕は布団にうつぶせる。
痛みの名残が、まだ脳にくっきりと残されていた。
超音波みたいな…そんな感じ。
でも、そんな痛みも嫌いじゃなかった。
『痛い』ってどんなものか考えると、ただの人間の思いこみみたいなものだろう。
皆が皆、同じ考えなわけがない。
痛みの具合がどこからが痛くて
どこまでが平気なのか
それは自分にしか分からない。
枕から匂う洗剤の香を、避けるようにして、窓の外を見上げた。
まだ、あの青い空は見えない。
今はただ、暗闇が全体を覆っているだけだった。
それでも幾分、僕の体の疲れはとれたし、精神的にも落ち着くことが出来た。
飛びたい。
その一心で空を見上げる。
窓越しで、少しくすんで見えた。
手が無意識に空の方向に伸びていた。
届くわけもない空を、掴みたい
と体が思っているのだろうか?
徒労なことをする…。
足先から5mほど、離れた所で、ふすまが開く音がした。
(この時に初めてこの部屋が和室ということを知ったのだから、よほど体が弱っていたのだろう)
顔をそちらに向けたかったが、人間の顔は、どうやら180度後ろを向けないらしい。
仕方なく、90度まで顔を曲げた。
目の端に人影が映る。
ぼやけて、顔がよく見えない。
「…あの、ご気分はいかがですか?」
おどおどした口調で、僕に話しかけた。
どうやら、女らしい。
気分なんか、見てわかるだろ…
と言いたいところだが、まずは、状況を把握しなければならない。
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