親友

2/7
569人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
   何だってこんなことになっているんだろう。  突然女の子になったと思ったら、家を追い出された。  知らない女が家にいたのだから当然の行動だと思うが、それでも兄貴たちの俺を見る視線は辛かった。  知っている人物――親しい人物が俺を他人を見るような目で見てくる。  まるで俺が場違いなところに放り出されてしまったかのようで、俺だけが親父たちを家族だと思っていたようで……。  痛かった。  驚いて言葉も出ない。  何も反論することが出来ず……。  そして、家を追い出された。  外で半裸でいるのは恥ずかしいと思ったんだろう。  無意識のうちにパジャマの前ボタンは閉じられていて、裸足でコンクリートの上を歩くのは痛かった。  その道は、家からすぐの住宅街。  朝の閑静さから、人影はまるでない。 (……痛い)  コンクリートの僅かなおうとつでさえ、今の俺には辛い。  だが、今更家に戻るわけにもいかない。  戻ったところで入れてもらえない。  それが分かっているせいか、後ろを振り向く気にもなれず、ただ当てもなく歩いた。 (……痛い……)  歩くたびに、地に足が着くたびに自重で足の裏にアスファルトの不揃いなおうとつが刺さってくる。  一歩一歩、俺は足から突き上げる痛みに顔を歪めた。  初めは気のせいかと思っていたが、どうやら俺は女になったことで体力が落ちてしまったらしい。  足からくる痛みのせいで体力気力共に奪われ、ゆっくりと歩くので精一杯だった。  
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!