変貌

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   確かに思ったことはある。  もしそうなってたら? なんて夢見がちに空想を繰り広げたこともある。  でも、それはそんなに特別なことなのだろうか。  ――朝起きたら女になってたら?  思った。  思ったけど、そんなこと起こるはずがないと思っていたし、思っただけでなりたいなんて願った覚えもない。  考えた。  考えたけど、それはやっぱり俺も男だから異性に興味がないわけじゃなく、むしろある。  だからこういった空想を広げることも普通のはずなのに。  そんなことを、“自分の膨らんだ胸”を直に見ながら思っていた。  目覚めたら胸が重く、どうしたんだろうと思い、見下ろしてみたらパジャマを押し上げる謎の二つの物体。  予測はつくにはついたが、あまりに信じられなかったのでパジャマを脱ぎ、確かめてみた。  それがこの結果。  色は白くなり、肌はきめ細かい。  乳房がふっくらとした膨らみを持っており、その先端は綺麗な桃色。  これは俺が男だからなのだろうか、しゃぶりつきたいと思ってしまうぐらいに綺麗だった。  本来ならむらむらしていてもたってもいられないような状況になっている頃だろう。  しかし股間から感じるのは確かな喪失感のみで、触ってみれば男のものが消え失せている。  あるのは女の方のものだけ。  体を見下ろして気づくのは、視界の両端を塞ぐ大量の髪。  どのくらい長いだろうか、こうして頭を垂れている状態で、髪の先端が股まで届く。  きっと腰ぐらいだろう。  見てるだけでも綺麗な髪だと分かったが、触れてみてそれを確信した。  
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