エピローグ

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誰か誰でも良い。 同じ気持ちの人が居たら。 下を向きつつ歩く。 目の前に人が居ることも知らずに歩く。 そんなことだから 当然人にぶつかって。 「あ、すみません」 条件反射で謝って、顔をあげるとそこには一人の女性が居た。 肩下まで伸びた緩くウェーブのかかったハニーブラウン。 大きな茶色の瞳には間の抜けた自分の情けない顔がはっきりと映っていた。 顔が小さい。 色は白い。 鼻梁は高い。 身長は女性にしては高いが、スラッとしてバランスの取れた身体。 赤いワンピースを着ていた。 赤がとても似合う女性だった。 端整な顔にも身体にも目を引かれるが、それ以上に目を引いたのは。 「私こそ…ちょっと考え事しちゃってて」 その女性の顔も、彼女の瞳に映った自分と同じように情けない顔をしていたということだ。 「いえ、自分も考え事をしていたものでしたから」 なぜだか。 初対面であるにも関わらず、僕は彼女と少しでも長く一緒に居たいと思い始めていた。
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