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そう思った理由は、なにも彼女の整った美しい容姿だけではなかったように思えた。
内面的で絶対的ななにかが私を捉えて離さなかった。
一目惚れに近いような。
彼女は私をじっと見つめていて、そしてそれから微笑んだ。
「これから時間ありますか?」
彼女は言った。
「はい」
私は彼女がためらう前に返事をした。
ここでこのチャンスを逃すわけにはいかない、と頭のどこかでそう思った。
「良かったら、お話しませんか?ここの近くで夜までやってるカフェがあるんです」
私は黙って頷いた。
断る理由はどこにもない。
じゃあ行きましょう。
にっこり笑った彼女に導かれ、自分は付き合っていた女性と別れたその日に知らない女性とこんな夜中に二人で軽々しく食事をするような人間だっただろうかとふと思ったが、それ以上は考えるのを止めた。
時間は午前00:00をうっていた。
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