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あの夜、私たちは結局カフェに行き、コーヒーだけを頼み、他愛のない話をして分かれた。
ずいぶんと長い間話していたにも関わらず、彼女のことについて知っているのは名前と電話番号だけ。
帰りぎわに「暇があったら電話ください」と微笑んだ。
実際、今暇である。
が、どうしても通話ボタンを押せないでいる。
実は、暇なのは今日だけではなかったのだ。
勇気がでないのだ。
もしかしたら名前は本名ではないかも知れないし、電話番号だって偽物かも知れない。
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