序章 終焉の始動

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世界最大の大陸・ユーラシア。 その東に広がる中国。 話は、まだ今のように正確な国境や領土など決まっていない時代に遡る。 中国三千年の歴史、というように、彼の地に住む人々はその英知を、そして時にはその失態を文字として残し、後世に伝えてきた。 その細かさや正確さについては周知の通りであろう。 幾多の文献もが考古学者の手によって紐解かれ、その多くが一致する。 こうして信憑性を得た文献は、歴史として私たちに伝えられるのである。 誰に疑うことが出来たであろうか。 今の世でいう、春秋戦国時代。 中国には多くの国が存在し、どの国もがいがみ合い、争い、他国の併合を求めて奔走していた、あの混乱期。 あのような時期に、その不仲な国々が密かに意志を繋ぎ、ある歴史を闇へと葬っていたなどと。 残されることなく花開き、そして散っていった小さな国の存在があったことを。 今はもう、消え失せた事実。
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