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しかし俺も
「本当ですか、いい所に来たなぁ」
と大喜びする貧乏学生だった。
学生御用達の、原価でビールを出してくれる居酒屋の小さな座敷に陣取ると、ビールより安い焼酎で酒盛りが始まる。
俺は手を合わせ心の中で風の冥福を祈ってから、封筒から写真を出し師匠にこの『呪い』の相談を始めた。
風には申し訳ないが師匠も俺も酒の肴くらいのつもりでいたのだった。
「地蔵の呪い?」
「ええ、そうじゃないかって言ってたんですよ」
コトの始まりは土建屋である風の父親が買い取った山の造成工事である。
山の中腹に立っていた古い地蔵を取り払った。
一応お払いの様な事はしたらしいのだが、そのあとしばらくしてその父親が脳梗塞で倒れたのである。
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