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「お前の友達が落とされたのか、落ちたのかはわからない、ただ姉さんの生霊が取り付いて悪さしてたのは間違いないそうだ」
俺が黙っていると
「おーいて。歩くに本気で殴られたぞ。写真の女が髪を振り乱して目をギラギラにさせて家の中を走りまわるシーンを見て、相当怖かったらしい」
師匠らしいやり方だな、と思ったらそれで俺も笑いが出てふっと力が抜けた。
「だから言っただろ、人間さまの方が恐ろしいんだよ」
師匠はそれだけ言って切ってしまった。
途方に暮れる俺に朝が静かに明けてきていた。
風の家族が離散状態で、梓さんと母親が財産分与で裁判をやっていると聞いたのはそれから10年も経ってからだった。
師匠はあの時ああ言っていたが、俺には家族和合を祈念した道祖神を壊した事に対して・・・
なにか因縁めいたものの様にも思えてしまうのである。
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