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師匠が変なことを言うので、おもわず聞き返した。
「だから空き缶だって」
大学1回生の秋ごろだったと思う。
当時の俺はサークルの先輩でもあるオカルト道の師匠に、オカルトのイロハを教わっていた。
ベタな話もあれば、中には師匠以外からはあまり聞いたことがないようなものも含まれている。
その時も、アキカンという単語の意味が一瞬分からず二度聞きをしてしまったのだった。
「空き缶。あ・き・か・ん。空の缶。エンプティ・・・なんだ、カン?とにかく見たことないかな。夜中見てると、けっこういるよ」
師匠が言うには、空き缶を夜見ると人間の霊が入っていく姿を見ることが出来るという。
どうして幽霊は空き缶に入るのか。
そんな疑問のまえに幽霊が空き缶に入るという前提が俺の中にはない。
脳内の怪談話データベースを検索しても幽霊と空き缶に関する話はなかったように思う。
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