どうして幽霊は空き缶にはいるのか

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いざどこにあるか、となると自信がなかったが、なんのことはない。 缶ジュースを買って中身を飲み干してしまえばいいのだった。 住宅街を抜けて、川のそばにそびえ立つコンビニを見つけると近くに自転車を止め、そのドアを開いた。 記号的な部分が重要であるなら、空き缶そのものに意味があり、銘柄にはこだわらなくていいのだろう。 というか、ペ○シしかなかった。 近所のパチンコ屋や本屋で時間を潰して、霊が多くいそうな墓地へ行った。 暗くなると、俄然雰囲気が違う。 人通りもない郊外の墓地は、見るとその大きさが増したような気さえする。 重いはずの缶は今は軽い。 それも夜の暗灰色の雲の中に、プルタブ形の穴が開いたような、吸い込まれそうな軽さだった。
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