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重々しい扉がゆっくりと開かれる。
まるで時間がスローに感じられた。
そして今、扉は完全に開かれた。
「っ!?誰だお前らっ!!」
見付かったっ!
兵は二人、恭一達を見付けるや剣を抜いている。
「チッ!リーシェ、俺があいつら二人を引き付けておくからお前は逃げろっ!」
「そんな事言ったって、あんた武器持ってないじゃない!?」
「いいんだよ、別に……」
俺は死んでもいいが……他人を巻き込むのは嫌だからな。
そんな恭一をリーシェは……
「あのねぇ、そんないかにも死ぬ気な奴をほっとくほど私はあくどくないよ?」
そういうと、短剣と拳銃を手にとった。
恭一は思った。
――それじゃあ、俺が死ぬに死ねないじゃねぇかよ
そんな恭一達を見て、兵は言った。
「お?やる気か? 我ら、『グラウゼ帝国』に歯向かう者は皆殺すのみ」
その時、リーシェが耳打ちしてきた。
「まともにやっても、向こうには鎧があるからどうしようもないわ」
「じゃあ、どうすんだよ?」
「それはね……ゴニョゴニョ…………わかった?」
「いいのかよ、それ?」
「いいのよ……じゃ、準備はいい?」
「いつでもどうぞ……」
そんな俺達のやり取りを律儀に待っててくれた。
兵達がこっちに向かって来る。
「そちらが来ないのなら、こちらから行くぞっ!」
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