序章「終わり、そして始まり」

2/4
93人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
 小鳥の囀り声が聞こえる。 新しい朝が来たのだろう…… 俺はその声をやかましく思いながら、ベットから自分の体を起こした。 「夢……か」 そんな俺はさっきの夢を不思議に思いながら、ふとカレンダーを見た。 「そうか……今日だったな」 そう呟きながら、俺は学校に行く準備をした。 そんな事をしても意味がないと気付いていながら……… 紹介が遅れたけど俺の名前は坂本 恭一。16歳 普通の高校生………… で、ありたかった。 俺には親や家族、親戚もいない……ずっと一人で今日まで生きてきた。 まだ、それだけならよかった。 俺には普通でない能力がある。 俺はそれを望んでいない…… 未来が見える能力なんて 正確にいえば、少し先の未来に身近に起こる事が「見えて」しまうのだ。 俺はそれを「ビジョン」と呼ぶ。 そのせいで、身寄りのいないうえに変な能力がある俺は周りから気味がわれた。 だけど、それも今日で終わりだ。 「見えて」しまったから…… その時、車が物凄いスピードで恭一に向かって来た。 自分の死を…… 車はクラクションを鳴らすが恭一は避けなかった。 生々しい音が辺りに散る。 「見えた」ことは決して避けることはできない。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!