安部沙耶

2/12
1258人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
沙耶の家は、ルナが予想していたものよりもずっと小さく、質素だった。 だが、だからといって貧しいというものでもなく………まぁ、レベルをつけるとしたら、中の上…という感じか。 ルナ「アベって言ってたから、もっと豪華な屋敷だと思ってたんですけどね」 案内された部屋に腰を下ろし、ルナはぐるりと回りを見回した。 沙耶「アベって…もしかして安倍晴明を言ってます?」 2つの湯飲みを手に、沙耶が襖を開けて入ってきた。 ルナ「ええ、そうです。並外れな力を持つ、物凄い陰陽師だとか」 沙耶「そうですね。確かに彼は素晴らしいです。私とあまり年は変わらないのに、帝のお気に入りになってるみたいですし。………お茶どうぞ」 気に食わないような、不機嫌な表情で沙耶は片方の湯飲みをルナに差し出した。 ルナは、どうも。と湯飲みを受けとる。 沙耶「でも、彼は私とは何の関係もない人です。読み方は同じですけど、漢字が違いますし。」 というと、沙耶は指で宙に二つの名前を書く。 不思議なことに、沙耶の人指し指が青白く光り、書かれた文字がほわっと宙に浮き出た。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!