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沙耶の家は、ルナが予想していたものよりもずっと小さく、質素だった。
だが、だからといって貧しいというものでもなく………まぁ、レベルをつけるとしたら、中の上…という感じか。
ルナ「アベって言ってたから、もっと豪華な屋敷だと思ってたんですけどね」
案内された部屋に腰を下ろし、ルナはぐるりと回りを見回した。
沙耶「アベって…もしかして安倍晴明を言ってます?」
2つの湯飲みを手に、沙耶が襖を開けて入ってきた。
ルナ「ええ、そうです。並外れな力を持つ、物凄い陰陽師だとか」
沙耶「そうですね。確かに彼は素晴らしいです。私とあまり年は変わらないのに、帝のお気に入りになってるみたいですし。………お茶どうぞ」
気に食わないような、不機嫌な表情で沙耶は片方の湯飲みをルナに差し出した。
ルナは、どうも。と湯飲みを受けとる。
沙耶「でも、彼は私とは何の関係もない人です。読み方は同じですけど、漢字が違いますし。」
というと、沙耶は指で宙に二つの名前を書く。
不思議なことに、沙耶の人指し指が青白く光り、書かれた文字がほわっと宙に浮き出た。
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