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-やばい。見られた・・・
ルナは焦った。
何故ならば、この血のような紅い瞳を。沙耶に見られてしまったからだ。
いつもは人間の前では絶対に瞳の色を黒くしているように心掛けていたのに、迂闊だった。
100年前の沙耶と瓜二つの姿に、知らず知らず油断してしまっていたのだろうか。
ルナ「・・・・・っ」
沙耶の視線が痛い。
ルナは唇を噛んだ。
普通の人間は、この紅い瞳を見た途端、鬼だの魔物だの言って、ルナを恐れるのだ。
人間というものは残酷な生き物で、自分と違った生き物を絶対に受け入れようとはせず、最悪、末梢しようとする。
ルナも『破壊の使者』と異名も付けられ、これまで数え切れない程の人間に殺されかけた。
-沙耶も他の人間と同じように、俺を殺そうとするだろう。人間様に味方の陰陽師なら尚更だ。だったら・・・・・
殺される前に・・・殺さなければ。事が大きくなる前に。
苦渋の選択だった。
愛しい人をまた殺さなければならないなんて・・・・
ルナは強く瞼を閉じ、震わせるが、決心が着いたのか力強く瞼を開け、力を解放させた。
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