紅き瞳の青年

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「………ルナだな」 ある秋の夜。 虫の音が辺りを包む空間に、突如背後から聞こえた男の声。 青年は振り向くと、そこには忍装束の男が静かに立っていた。 「だったら?」 青年は男に向け、怪しく笑う。 「殺す」 男は一言発すると、腰から刀を抜き、構える。 青年は男の行動に全く動じず、未だ怪しく笑ったまま。 ダッ!!! 男は力一杯に地を蹴った。 「!?」 一瞬にして、男は闇に姿を消す。 かと思うと… ―上か。 頭上からの殺気に気付き、ルナも上空へ地を蹴り、懐から鎖鎌を抜き取る。 ザシュッ 「ガ…ッ………………!?」 ドサドサ 横一線まっ二つに体を裂かれた男は、地面に落ちる。 「…………………弱い」 男を無表情のまま見下ろし、青年は小さく呟いた。
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