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その光景はまさに、四年前のあの事件を鮮明に綾介の脳裏に蘇らせた。
彼は直感した。これは、『あいつ』の仕業だ。でなければ、誰がこんなことをするというのだ?
灰色のロッカーがずらりと並ぶ、中学校の廊下。なんの変哲もない場所だ。しかしその廊下の端には、かつてのクラスメートの大畠友樹(おおはたともき)の絶命し変わり果てた姿が確かにあった。
綾介は自分が犯人にまちがわれるのではないか、という恐れと、大畠友樹の息がまだあるのではないかという望みと、犯人が近くにいたらどうしようという不安などが渦巻いて、壁によりかかりながら落ち着こうとした。
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