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どうやらこれは過去の記憶らしい。綾介は不思議に思いながらも、二年前まで通っていた校舎の中を歩いてみることにした。
季節は秋くらいだろうか。窓の外を見れば、校庭の周りに植えられた並木が紅く色づいてきている。
独特の校舎の匂い。軋む木の床。すれ違う顔。お世話になっていた教師たち。各クラスの掲示板に貼りつけられた、図画の時間に描いた絵。すべてが懐かしく思えた。
しかし、いつまでも懐かしさに浸っている場合ではなかった。
というのは、「三・四年生」のクラス前の掲示板の中に、気になるものを見つけたからだった。
その気になるものとは、近々開かれるらしい学芸会の様子を、児童たちが思い思いに絵に表したものだった。
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