Ⅱ.闇を支配する雨

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よほど印象に残っているのだろうか、ほとんどの生徒がピエロらしき姿をクレヨンで描きだしていた。 だが、異様だったのは、一枚だけ、他のものと比べて明らかに違うものがあったことだ。 その一枚もやはり中央にピエロが描かれている。ところがそのピエロは床に横たわり、上から男の子が剣をその背に突き立て、そこから夥しい量の赤い液体――おそらく血なのだろう――が、噴き出していた。 綾介は身震いした。そして、見てしまった。その絵の隅っこに書かれた、この絵の作者の名前。 それは、“かじかわたつや”だった。
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