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もし、オルクスが造り出されなかったのなら──そんな仮定の話など、意味をなさない。
起きてしまったことを、無かったことには出来ないのだから。
『システムエデンヲ、実行致シマスカ』
無かったことにはならないのなら、せめて消し去ってしまおう。
代償に全てを失ってもいい。
狂った世界は、彼らにふさわしくない。
彼らが生きる場所は、植物が生い茂る自然でなければならない。
『認証パスワードヲ確認シマシタ。システムエデン、実行致シマス』
きっとこの不条理な世界は白と化すだろう。
それは世界を正すための、雪。死ぬことのないオルクスを殺すための、雪。
魔女やヒトには害をなさない、文明だけを消し去る雪。
彼の為だけに、それを造り出したのだ。望みが叶うのならば、後世で凶悪な犯罪者とされてもいい。
成し得たいことは、ただ一つ。誰に理解されなくとも、構わない。もとより、理解されようなど思っていないのだから。
ただ悔しいのは、歪みのない世界を見ることが出来ないということだけだ。
共存が何処にある。
永存が何処にある。
併存が何処にある。
死の無い世界など、有り得ない。
物事は終わりまで、エゴであるべきだ。
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